平行四辺形公式は、算数の中で重要なテーマの一つです。
「底辺 × 高さ」で面積を求めるこの公式は、一見シンプルですが、その成り立ちや活用方法を正しく理解することで、さらに深い応用力が身につきます。
中学受験では、平行四辺形公式をただ暗記するだけでなく、「なぜこの公式で面積が計算できるのか」「どのように使いこなせばいいのか」といった背景や使い方を問う問題がよく出題されます。
この記事では、平行四辺形公式の面積の求め方や証明、そして実際の受験問題で活用する際の注意点について、分かりやすく徹底解説します。
この公式を正しく理解し、受験での得点力を高めたい方はぜひ参考にしてください。
- 平行四辺形公式の成り立ちが理解できる
- 公式を使った面積計算が正確にできるようになる
- 受験頻出の応用問題に対応できる力がつく
- 他の図形との違いを整理して理解を深められる
- テストで役立つ実践的な注意点を学べる
目次
平行四辺形とは
平行四辺形は、四角形の中でも特に規則的な特徴を持つ図形です。
向かい合う2組の辺がそれぞれ平行であることが最大の特徴であり、この性質から「底辺」と「高さ」を定義できます。
そのため、面積を公式「底辺 × 高さ」で計算することが可能です.
平行四辺形の面積の求め方については平行四辺形の面積公式を徹底解説!で説明しています。
平行四辺形はその形状や性質により、長方形や台形などの他の四角形と明確に区別されます。
例えば、長方形はすべての角が90度であるのに対し、平行四辺形の角度は必ずしも90度になるわけではありません。
一方、台形は1組の辺だけが平行であるのに対し、平行四辺形では2組の辺が平行です。
このような違いを理解することで、平行四辺形の独自の性質をより深く知ることができます。
平行四辺形の中には長方形、ひし形があり、その両方の性質を持っている正方形があります。
さらに、日常生活でも平行四辺形に似た形状は多く見られます。
例えば、スライド式の引き戸や風車の羽根などがその特徴を反映しています。
これらを通じて、平行四辺形は算数だけでなく、私たちの身近な生活の中にも広く関わっていることが分かります。
平行四辺形は、他の図形と比較することで、その形状の規則性や面積公式の応用範囲がよりはっきりと理解できるようになります。
ここで四角形について簡単にまとめておきます。
こうした特徴を知ることは、中学受験においても重要な基礎となります。
平行四辺形の面積公式を徹底解説!
平行四辺形の面積公式は、算数の中でも重要な計算方法の一つです。
この公式「底辺 × 高さ」は、図形の特徴を利用して簡潔に面積を求められる点で便利です。
公式が成り立つ理由には、平行四辺形を別の図形に変形して考えることが関係しており、算数の基礎的な理解を深める良い機会になります。
また、この公式を使う際には「高さ」を正確に見つけることがポイントです。
高さは必ず底辺に対して垂直な線として定義されるため、図形の中でどこを基準にすればよいのかを判断する力が求められます。
これにより、計算の精度を高めるだけでなく、図形を見る目を養うことができます。
「底辺 × 高さ」が公式になる理由
平行四辺形の面積を求める公式「底辺 × 高さ」が成り立つ理由は、図形の分割や変形に基づいています。
この公式の背景を理解することで、単に暗記するだけでなく、なぜその計算で面積を求められるのかを納得することができます。
平行四辺形は、その名前の通り、対向する辺が平行であるという特徴を持つため、特定の性質が生まれます。
この性質を利用し、平行四辺形を分割したり、三角形など別の図形に変形することで、面積の計算が簡単に説明できます。
また、底辺と高さを使うことで、平行四辺形の面積は他の四角形、特に長方形と似た形で求めることが可能です。
面積公式を学ぶ際には、このような成り立ちを理解することが大切です。
公式の背景にある考え方を知ることで、算数の応用力が高まり、問題を柔軟に解けるようになります。
では、図を使って確認していきましょう。
平行四辺形の面積の公式を、下のような平行四辺形を使って確認
この平行四辺形を下の図のように、左側を切って直角三角形を作ります。そしてその三角形を反対側の辺に移動すると、長方形を作ることができます!
平行四辺形の上の辺と、下の辺の長さは同じだから、切った三角形を移動すると長方形が作れるます。
長方形の面積は「たて×よこ」で求めることができるので、この長方形を作った元の平行四辺形の面積は「底辺×高さ」で求めることができます。
平行四辺形は、長方形に形を変えることができますね。
次は下の図のように、長方形に形を変えることができない平行四辺形についても考えてみましょう。
このような平行四辺形では、同じ平行四辺形をもう1つ横にくっ付けてみましょう。
すると底辺の長さが2倍になった平行四辺形ができて、長方形に形を変えることができます。
この平行四辺形2つ分の面積は、底辺が2倍の長さの長方形の面積
(底辺✖️2✖️高さ)と同じになるので、平行四辺形の1つ分の面積は
「底辺✖️高さ」となります。
こんな形の平行四辺形も、「底辺✖️高さ」で面積が出せますね!
高さの見つけ方と注意点
平行四辺形の面積を求める際、公式「底辺 × 高さ」を正しく使うためには、高さを正確に見つけることが重要です。
高さは底辺に垂直な線であり、図形の形や配置によってどこに位置するかが異なります。
これを正しく理解していないと、面積を正確に計算することが難しくなります。
平行四辺形の高さを見つけるには、図形の底辺を基準として考えることが必要です。
底辺とは、平行四辺形の任意の一辺を指定できるもので、その線に対して直角に交わる高さを確認します。
特に、底辺の外側に高さが伸びる場合や、辺が斜めになっている場合など、見つける際のコツを知っておくと便利です。
また、計算する際には、高さの単位や対応する底辺を間違えないように注意が必要です。
この理解を深めることで、平行四辺形公式を使った問題をより正確に解けるようになります。
受験で問われる問題では、わざと見つけにくい高さを含む図形も出題されるため、高さを正確に見つける練習を重ねることが重要です。
平行四辺形の面積公式を使った問題解説
平行四辺形の面積公式「底辺 × 高さ」は、基礎問題から応用問題まで幅広く使える便利な公式です。
この公式を使いこなすためには、基本的な使い方を理解し、応用力を身につける必要があります。
また、間違えやすいポイントを事前に知っておくことで、ミスを防ぎやすくなります。
以下では、レベル別に問題解説を行います。
基本問題:初歩から学ぶ公式の使い方
問題
底辺が6cm、高さが4cmの平行四辺形の面積を求めましょう。
解き方
- 公式「底辺 ✖️高さ」に当てはめる。
- 底辺を6cm、高さを4cmとして計算する。
- 6✖️4=24
よって面積は24平方センチメートルです。
答え:面積=24㎠
ポイント
基本的な問題では、底辺と高さがはっきりと示されていることが多いです。
この場合、公式に正確に代入することが重要です。
標準問題:少し複雑な高さや底辺の設定
問題
平行四辺形の底辺が10cm、面積が50平方センチメートルのとき、高さを求めましょう。
解き方
- 面積公式「底辺 ✖️高さ =面積」を利用する。
- 10✖️高さ=50
なので、高さは 50➗10=5 - 高さは5cmです。
答え:高さ=5cm
ポイント
高さや底辺を求める問題では、公式を逆に使う場面があります。
問題文をよく読んで、何を求めるべきかを把握することが必要です。
この場合、公式に正確に代入することが重要です。
また、高さは底辺に対して垂直な線であることを確認することが重要です。
応用問題:難易度の高い平行四辺形問題
問題1
平行四辺形の底辺が12cm、高さが7cmです。
この平行四辺形の右側に1cmの幅で帯状の部分が隠されています。
この隠された部分を含む平行四辺形全体の面積を求めなさい。
解き方
- 隠された部分を含む全体の底辺は「12cm + 1cm = 13cm」になります。
- 公式「底辺 × 高さ」を適用すると、面積は以下の通りです。
13✖️7=91㎠
答え:高さ=91㎠
問題2
平行四辺形ACDEの底辺は15cm、面積は120平方センチメートルです。
この平行四辺形の高さの一部であるABの長さが3cmのとき、残りの高さを求めなさい。
解き方
- 平行四辺形の全体の高さを求めます。
高さ=面積底辺=120➗15=8 cm - 高さ全体が8cmで、そのうちABが3cmなので、残りの高さは以下の通りです。
8ー3=5 cm
答え:5cm
ポイント
面積公式「底辺 × 高さ = 面積」から高さ全体を計算します。
計算で求めた全体の高さから、部分の高さABを引いて残りの高さを導きます。
問題3
底辺が10cm、隣接する角が70°の平行四辺形があります。
この平行四辺形の高さは、底辺の延長線上にあります。このとき、平行四辺形の面積を求めなさい。
ただし、高さが延長線上にあるため、底辺との距離を測る必要があります。
その高さが6cmであるとき、面積を計算しなさい。
解き方
- 高さが延長線上にある場合も、底辺に垂直な距離として扱うため、通常通り公式を使えます。
- 面積=底辺✖️高さ=10✖️6=60 ㎠
答え:60㎠
ポイント
底辺の延長線上に高さが位置することを図でイメージさせます。
延長線上にあっても高さの定義は「底辺に垂直な長さ」であるため、そのまま公式「底辺 × 高さ」で面積を計算できることを説明します。
これらの問題は、基本的な面積計算の知識だけでなく、高さや底辺に関する応用的な理解を求める内容になっています。
よくある間違いとその防ぎ方
- 高さを斜辺と混同する
平行四辺形の斜めの辺を高さと勘違いすることがあります。
高さは必ず底辺に垂直な線であることを意識しましょう。 - 対応する底辺と高さを組み合わせない
適切な底辺に対する高さを選ばず、誤った組み合わせで計算すると、正しい面積が出ません。
必ず、同じ辺を基準に高さを選んでください。 - 単位を見落とす
面積の単位は「平方センチメートル」や「平方メートル」などです。計算の答えに単位を付け忘れる、あるいは間違った単位を使うと減点対象になることがあります。
これらの間違いを防ぐためには、図を描きながら考えることと、公式をしっかり確認する習慣が大切です。
平行四辺形の面積の求め方に関するQ&A
平行四辺形の面積の求め方に関するよくある疑問は下記の通り。
ここからそれぞれの疑問について、1つずつ詳しく解説していきます。
高さが底辺の外側にある平行四辺形の面積はどうやって求めるのですか?
高さが底辺の外側にある場合でも、面積は公式「底辺 × 高さ」で求められます。
高さは底辺に垂直であればどこに位置していても問題ありません。
例えば、底辺が12cmで、その外側に高さが7cmある場合でも、公式にそのまま代入して計算します。
面積=12✖️7=84㎠
高さが図形の外にある場合でも安心して公式を使いましょう。
平行四辺形の面積を求める公式は、台形や三角形の面積とどう違いますか?
平行四辺形の面積公式「底辺 × 高さ」は、他の図形の面積公式と使い方に違いがあります。
- 台形では、「(上底 +下底) ➗2 ✖️高さ」を使います。
平行四辺形と違い、2つの平行な辺(上底と下底)を足してから計算します。 - 三角形では、「底辺 ✖️高さ ➗2」を使います。
平行四辺形の半分の面積であるため、公式に「➗2」が含まれます。
平行四辺形は、底辺と高さがわかれば直感的に計算できる点が特徴です。
高さがわからない平行四辺形の面積を求める方法は?
でも、角度の情報があれば面積を求めることができます。この場合、「底辺」と「底辺と隣接する角度」を利用します。
①方法の説明
高さがわからない場合でも、角度を使えば高さを計算できます。この方法では、次の公式を使います。S=底辺×隣接する辺×sinθS=底辺×隣接する辺×sinθ
ここで「sinθsinθ」は角度 θθ(底辺と隣接する辺がつくる角)のサイン(正弦)を指します。
②具体例
問題
底辺が10cm、隣接する辺が8cmの平行四辺形があります。
底辺と隣接する辺がつくる角が60°のとき、この平行四辺形の面積を求めなさい。
ただし、sin60°=0.866 とします。
解き方
- 面積公式に代入します。面積=底辺✖️隣接する辺✖️sinθ=10✖️8✖️0.866
- 計算をします。
まず、10✖️8=80
次に、80✖️0.866=69.28
答え
平行四辺形の面積は 69.28㎠です。
ポイント
- 高さがわからなくても、角度を使えば計算できることを知っておくと便利です。
- 小学生にとって「sinθ」は新しい概念ですが、「角度が大きいほど値も大きくなり、90°のときに最大の1になる」とイメージを教えると理解が深まります。
- 問題では、角度やsin(サイン)の値が与えられることがほとんどなので、公式を正しく使えば解けます。
高さがなくても面積を求められるこの方法を覚えておくと、さまざまな平行四辺形の問題に対応できるようになります!
まとめ – 平行四辺形の面積公式をマスターして算数力を向上しよう
この記事では、平行四辺形の面積公式「底辺 × 高さ」を使った問題解説を行い、基礎から応用まで幅広く取り上げています。
以下に内容を簡潔にまとめます。
- 基本問題
公式に数値を当てはめて計算する初歩的な問題を解説。
公式の使い方を正確に理解することが重要です。 - 応用問題
高さや底辺を求める逆算の問題を扱い、公式を応用する方法を紹介。
問題文を正確に読み解く力が求められます。 - よくある間違いとその防ぎ方
高さを斜辺と混同する、底辺と高さを対応させない、単位を見落とすといったミスを防ぐポイントを解説。
注意点を押さえることでミスを減らせます。
この記事を読むことで、平行四辺形公式の基本的な使い方をマスターし、応用力を身につけ、計算ミスを防ぐための具体的な知識を得られます。
「中学受験パスポート」関連記事