流水算は、中学受験の算数で頻出する重要な単元です。
川の流れと船の速さを計算するこの問題は、一見すると複雑に見えるかもしれませんが、基本の考え方と正しいアプローチを学べば確実に解けるようになります。
このブログでは、流水算の基礎から応用までをわかりやすく解説します。
この記事を読み終えた頃には、親子で流水算に取り組む具体的な方法がわかり、得点力を大きく伸ばすことができるでしょう。
- 流水算の基本の考え方と、上り・下りの速さの計算方法
- 公式や図を使った効果的な解き方のステップ
- よくあるつまずきの原因と、それを克服するための具体的な方法
- 家庭学習で使えるおすすめの教材と、親子で取り組む練習方法
- 流水算で身につけたスキルを他の特殊算に応用する方法
- 実際に取り組む例題と、基礎・応用・難問の解き方のコツ
目次
流水算とは
流水算は、中学受験の算数でよく出題される「速さ」を扱った問題の一つです。
川の流れを利用して、船が上流や下流を進む際の速さや時間、距離を計算します。
この問題では、川の流れの速さや船自体の速さを整理しながら、条件に合った答えを導き出す力が求められます。
特に、上りと下りの違いを正確に理解し、公式を使って計算できることがポイントです。
基礎をしっかり身につけることで、応用問題にも対応できるようになります。
流水算で出てくる「速さ」の種類を整理しよう
流水算では、次の3つの速さを押さえることが重要です。
- 船の静水時の速さ
静水時とは、川の流れが全くない場合の船の速さです。
たとえば、プールで船を動かす場合の速さがこれに当たります。
問題文では「船そのものの速さ」として表記されることが多いです。 - 川の流れの速さ
川が自然に流れる速さを指します。
問題文中では「流速」や「川の流れの速さ」と記述されることが一般的です。
これを元に、上流や下流での速さが計算されます。 - 実際の速さ(上りと下り)
上りでは「船の静水時の速さから流速を引いたもの」が、下りでは「船の静水時の速さに流速を足したもの」が実際の速さになります。
この違いをしっかり整理することが、問題を解く際の基本です。
イラストでイメージ化
船が川を上る様子や、川の流れの速さを矢印で描いてみると、小学生でも問題の状況がつかみやすくなります。
親子で一緒に図を描きながら考えると、理解が深まります。
上りと下りってどう違うの?例題で確認!
上りと下りの違いを具体的に例題で見てみましょう。
例題:
船の静水時の速さが8km/h、川の流れの速さが2km/hの場合、上りの速さと下りの速さを求めなさい。
- 上りの速さ
川の流れに逆らって進むため、「船の静水時の速さ ー川の流れの速さ」で計算します。
8km/h – 2km/h = 6km/h - 下りの速さ
川の流れに乗って進むため、「船の静水時の速さ +川の流れの速さ」で計算します。
8km/h + 2km/h = 10km/h
このように、上りと下りでは計算方法が異なるため、状況に応じて使い分けることが必要です。
上りは流れに逆らうため速さが遅くなり、下りは流れに乗るため速さが速くなるという特徴があります。
中学受験でよく出る、試験に出やすいパターンとは
流水算が中学受験で頻出なのは、速さの計算だけでなく「条件整理」や「論理的な考え方」が試されるからです。
また、次のようなパターンで問題が出されることが多いです。
- 速さの比較を問う問題
「上りと下りの所要時間の差を求めなさい」など、速さの違いを計算するパターンがよく出題されます。 - 時間や距離の条件を絡めた問題
「上りに5時間、下りに3時間かかる場合、川の流れの速さを求めなさい」というように、複数の条件から一つの答えを導き出します。 - ダイヤグラムを使った問題
時間や速さを図に整理しながら解く問題も出るため、ビジュアル的な理解も求められます。
中学受験での流水算の問題は、基本を押さえれば確実に得点につながります。
試験本番では、どのパターンに当てはまるかを判断し、スムーズに計算できる力をつけることが大切です。
先程の基本問題は、問題文から速さの3要素である距離と時間と速さを読み取る問題でした。
中学入試では素直に速さの3要素が書かれていないパターンもあります。
受験生がグラフを読む力があるかを見るため、ダイアグラムから読み取らせるパターンがよく出題されます。
問題の条件や情報を図で整理する方法です。
流水算の場合、上りや下りの速さ、距離、時間などを線や矢印を使って視覚的にまとめることで、計算に必要なポイントを分かりやすく示します。
流水算の解き方を4ステップでわかりやすく解説
流水算を効率よく解くためには、基本的な手順をしっかり押さえておくことが大切です。
この3つのステップを順番に取り組むことで、問題文を整理し、公式を正確に適用する力を身につけることができます。
以下では、それぞれのステップについて詳しく解説します。
問題文をしっかり読む
例題をもとに説明
問題:ある船が24kmの川を上るのに4時間かかります。
この川の流れの速さが時速1kmとすると、下りに何時間かかりますか。
流水算では、問題文に書かれた条件を正確に理解することが第一歩です。
特に以下の3点に注意する必要があります。
- 上り・下りの速さの条件
「上りは○km/h」「下りは○km/h」という情報が与えられている場合、それぞれの速さがどう計算されるかを把握します。
上りは「船の速さから流速を引く」、
下りは「船の速さに流速を足す」という基本ルールを確認しましょう。 - 時間や距離の条件
「上りは3時間、下りは2時間かかる」など、具体的な時間や距離が与えられることがあります。
これらの数字は、後で公式を使って計算するための重要な手がかりになります。 - キーワードに注目する
問題文中の「静水時」「流速」「所要時間」などの言葉を見落とさないことが大切です。
これらがどの速さを指しているのかを明確にすることで、条件整理がスムーズになります。
問題文中の「ある船が24kmの川を上るのに4時間かかります」より、
速さ=距離÷時間の下記公式より、
上りの船の速さ=24÷4=6km/時間を求めます。
問題文中の「この川の流れの速さが時速1km」より、
川の流れの速さ=1km/時間がわかります。
4つの速さを読み取る
4つの速さをしっかりと読み取る
問題文を読み終えたら、4つの速さ(上りの船の速さ、下りの船の速さ、静水時の船の速さ、川の流れの速さ)を読み取り、3本の線分図(下り、静水、上り)に書き入れる。
線分図を全て埋める!
3本の線分図が描けたら、未知の部分(埋まっていない部分)を埋めていく作業を開始します。4つの速さのうち最低2つ分かれば全ての値を埋めることができます。
上りの船の速さ=6km/時間
川の流れの速さ=1km/時間
静水時の船の速さ=上りの船の速さ+川の流れの速さ=6km/時間+1km/時間=7km/時間
下りの船の速さ=静水時の船の速さ+川の流れの速さ=7km/時間+1km/時間=8km/時間
このように整理することで、計算に必要な情報がひと目でわかります。
公式を使って速さ・時間・距離の計算をする
4つの速さをしっかりと読み取る
問題文を読み終えたら、4つの速さ(上りの船の速さ、下りの船の速さ、静水時の船の速さ、川の流れの速さ)を読み取り、3本の線分図(下り、静水、上り)に書き入れる。
線分図を全て埋める!
3本の線分図が描けたら、未知の部分(埋まっていない部分)を埋めていく作業を開始します。4つの速さのうち最低2つ分かれば全ての値を埋めることができます。
上りの船の速さ=6km/時間
川の流れの速さ=1km/時間
静水時の船の速さ=上りの船の速さ+川の流れの速さ=6km/時間+1km/時間=7km/時間
下りの船の速さ=静水時の船の速さ+川の流れの速さ=7km/時間+1km/時間=8km/時間
このように整理することで、計算に必要な情報がひと目でわかります。
公式を使った速さ・時間・距離の計算
最後に、公式を使って具体的な計算に進みます。流水算では、以下の公式を活用することがポイントです。
- 距離の公式:距離 = 速さ × 時間
上りや下りの条件で、速さと時間が与えられている場合、まずは距離を計算します。
この公式は基本中の基本なので、迷わず使えるようにしておきましょう。 - 速さの公式:速さ = 距離 ÷ 時間
距離と時間が与えられているときは、速さを求めます。 - 流速の公式:流速 = 下りの速さ – 上りの速さ ÷ 2
上りと下りの速さの平均から船の静水時の速さを引くと、流速が求められます。流速を計算する問題では、この公式を使う場面が多いのでしっかり覚えておきましょう。
この問題では、下りに何時間かかりますか?を求めるので、
時間=距離÷速さ=24km ÷ 8km/時間=3時間
答え:3時間
公式を適用するときは、必ず条件が適切に整理されていることを確認してください。
計算ミスを防ぐために、途中式を書きながら丁寧に進めることも大切です。
この3つのステップを習得することで、流水算の問題を効率よく解けるようになります。
問題を解くプロセスをしっかり身につけることが、得点アップの近道です。
流水算が苦手でも大丈夫!覚えておきたいコツ
流水算が苦手な場合でも、基本的なコツを覚えることで解きやすくなります。
重要なのは、速さや条件を整理し、適切な方法で計算を進めることです。
ここでは、「速さの差」と「速さの和」の使い分け、比を使った簡単な解法、そして親子で取り組む練習方法を具体的に説明します。
「速さの差」と「速さの和」の使い分けをマスターしよう
流水算の計算で頻繁に使うのが「速さの差」と「速さの和」です。
それぞれの使いどころを正しく理解することがポイントです。
- 速さの差
上りと下りでは、川の流れに逆らうか、助けられるかで速さが異なります。
この違いを速さの差として表現します。
例えば、船の静水時の速さが8km/h、川の流れの速さが2km/hの場合、上りと下りの速さの差は4km/hです。
また、船の上りの速さ=船の静水時の速さー川の流れの速さ
=8ー2=6km/h
船の下りの速さ=船の静水時の速さ+川の流れの速さ
=8+2=10km/h
この差を利用して、川の流れの速さや所要時間を計算することができます。 - 速さの和
一方、速さの和は、上りと下りの速さを足し合わせたものです。
これを使うと、船の静水時の速さを求めるのに役立ちます。
船の上りの速さと船の下りの速さの和 ÷ 2=船の静水時の速さが求まります。
例で考えると、船の上りの速さが6km/h、船の下りの速さが10km/hの場合、速さの和は16km/h。
この和を2で割ると船の静水時の速さ8km/hが求められます。
このように、速さの差と速さの和を状況に応じて使い分けることで、問題を効率よく解けるようになります。
難しそうな条件も比を使えばスッキリ解ける
比を活用すると、複雑な条件の問題もシンプルに解けます。
特に、上りと下りで所要時間や距離の比が与えられる問題では、比を使うことで速さを簡単に計算できます。
例題:
船が静水時に10km/時間の速さで進みます。
川の流れの速さを求める場合、上りの所要時間と下りの所要時間の比は5:3とします。
船の上りの速さ、船の下りの速さと川の流れの速さを求めよ?
このとき、以下の手順で解くことができます。
上りの所要時間と下りの所要時間の比は5:3なら、速さの比は逆比の3:5になります。
まず与えられた問題の条件より下記の線分図を書きます。
静水時の船の速さ10km/時間は③+①=④と等しくなりますので、
①=2.5km/時間となります(10km ÷ ④=2.5km/時間)
図より、下りの船の速さ=⑤=① × 5=2.5×5=12.5km/時間
上りの船の速さ=③=① ×3=2.5×3=7.5km/時間
- 4つの速さ(上りの船の速さ、下りの船の速さ、静水時の船の速さ、川の流れの速さ)を読み取り、3本の線分図(下り、静水、上り)に書き入れる
計算で流速を求める
これを解くと、流速が2.5km/時間であることがわかります。
答え:
流速が2.5km/時間
比を使うことで、複雑な問題も一歩ずつ整理できるのが特徴です。
流水算の例題にチャレンジ!解説付きでわかる
流水算を理解するには、実際に例題を解いてみるのが最も効果的です。
ここでは、基礎から応用までの問題を段階的に取り上げ、解説を通して理解を深めていきます。
簡単な例題から始めて徐々にレベルアップし、自信をつけましょう。
基礎問題
解説:下図のような線分図を作って考えれば、静水時で時速28km(32ー4)、川の流れの速さは時速4km(8÷2)がわかります。
答え:静水時の速さ…時速28km 川の流れの速さ…時速4km
解説:上りの速さは時速6km。
下図のような線分図を作れば、下りは時速8kmとなり、下りにかかる時間は24÷8=3時間。
答え:3時間
解説:
上りの速さ
上りでは、川の流れに逆らうため、「静水時の速さ ー流速」で計算します。
8km/時間 – 2km/時間 = 6km/時間
下りの速さ
下りでは、川の流れに乗るため、「静水時の速さ +流速」で計算します。
8km/時間 + 2km/時間 = 10km/時間
答え:上りの速さ=6km/時間、下りの速さ=10km/時間
このように、基本的な計算式を使うだけで簡単に答えが出せます。
まずはこのレベルを確実に解けるようにしましょう。
解説:この船の上りと下りの速さの比は、時間の比と逆比なので、5:9です。
船の上りと下りの速さの差の4km /時間が川の流れの速さの2倍になるので、④で時速4kmとなり①で時速4km、⑤で時速5km、⑨で時速9km。
A町とB町は時速5km × 9時間=45km。
答え:45km
解説:この船の上りと下りの速さの比は時間の比と逆比なので、6:8です。
船の上りの速さと船の下りの速さの和➗2=船の静水時の速さより
船の上り速さ⑥と船の下りの速さ⑧の和 ÷2=⑦(船の静水時の速さ)
従いまして、⑦=28km/h(船の静水時の速さ)より①=4km/hとなり、下図から川に流れの速さは時速4kmとなります。
答え:時速4km
応用問題
解説:
(1)花子さんは1080mを上りに45分、下りに15分かかっているので、
上りの速さは分速24m(1080 ÷ 45=24)、
下りの速さは分速72m(1080 ÷15=72)となり、下図の線分図より
船の上りの速さと船の下りの速さの和➗2=船の静水時の速さなので、船の静水中の速さは分速48m【(24+72) ÷ 2】となります。
川の流れの速さ=花子さんのボートの速さー静水中のボートの速さ より
=分速24m(72ー24)となります。
答え:分速24m
(2)1080mを川の流れの速さ(分速24m)で流れると45分かかるので、同時に着いた60分後から考えると、太郎君は上りに15分かかったことになります。下図のようになります。
15分後から旅人算で考えると、この15分で花子さんは360m(分速24m×15分)進みます。
従いまして花子さんと太郎くんは720m(1080mー360m)離れて向かい合って進むので、2人がすれ違うのは、
離れている距離÷(花子さんの上りのボートの速さ+太郎くんのボートが川の流れに流される速さ)で求めることができます。
つまり、720 ÷(24+24)=15分後にすれ違います。
すれ違うまでに、花子さんは30分(15分+15分)経過していますので、は花子さんと太郎君がすれちがうのは、30分後です。
花子さんは720m(分速24m × 30分)進んだことになります。
旅人算の出合い算はお互いが同時に出発することが重要で、今回のように花子さんと太郎くんが同時に出発する時点での互いの距離を求めることが非常に重要です。
旅人算についての便利な情報を集めた記事は以下からどうぞ。
旅人算の問題の解き方を徹底攻略!中学受験のための完全ガイド
答え:720m
(3)太郎君のボートの上りの速さは、(2)の花子さん・太郎くんの移動距離と時間のグラフより分速72m(1080÷15=72)です。
この力で下ると、川の流れの速さ分速24mの倍の分速48mが加わり、
太郎君のボートの下りの速さは分速120m(72+48=120)です。
上りの時間:15分
下りの時間:9分(1080 ÷120=9)
往復の時間は24分(15+9=24)
答え:24分
解説:
(1)秋子さんのボートの上りの速さと次郎くんのボートの上りの速さの比は時間の比と逆比なので、45:30=③:②です。
一方秋子さんは上流のB地点から下流のA地点まで18分、下流のA地点から上流のB地点まで30分なので、秋子さんのボートの下りの速さと秋子さんのボートの上りの速さの比は時間の比と逆比なので、30:18=⑤:③です。
したがって秋子さんのボートの静水時の速さは(⑤+③)➗2=④です。
下図より、川の流れの速さは①となります。
したがって、次郎くんのボートの下りの速さは、次郎くんのボートの上りの速さ②+川の流れの速さ①×2=④となり、
次郎くんのボートの静水時の速さは(④+②)÷ 2=③です。
よって、秋子さんと次郎くんの静水時の速さの比は4:3です。
答え:4:3
(2)秋子さんと次郎くんボートの下りの速さの比は⑤:④なので、秋子さんと次郎くんボートの下りの時間の比はその逆比で④:⑤となります。
秋子さんの下りの時間は18分なので、次の比例式が成り立ちます。
18:X=4:5(Xは次郎くんの下りの時間)、Xを計算すると
X=22.5
答え:22.5分
解説:
問題の条件から下図を書くことができます。
下りの船の速さと上りの船の速さの比は時間の比と逆比なので、8:16=①:②です。
往復の所要時間が5時間30分(330分)なので、
上りの時間は全体の1/3 【2/(1+2)】で、
330分×(2/3)=220分。
時速なので220分を時間に変換すると220/60時間となるので、
上りの距離は時速8(km)×220/60(時間)=29と1/3km となります。
答え:29.36km
解説:
(1)
9時20分から10時30分までの70分間で20-14.4=5.6km流されているので、
川の流れの分速は80m(5600m÷70分=分速80m)
川の流れの時速は4.8km(分速80m×60分=4800m)
答え:川の流れの時速は4.8km
(2)
グラフより8時から9時20分までの80分間に20km進んでいるので、
船の分速は250m(20000m ÷80分=分速250m)
船の時速は15km(分速250m ×60分=15000m)
10時30分から速度が1.2倍になるので、時速は18km(時速15km ×1.2=時速18km)
エンジンの修理後、36-14.4=21.6kmを時速18kmで進むと1時間12分(21.6km ÷ 時速18km=1.2時間→1時間と12分)かかるので、この船は11時42分(10時30分+1時間12分=11時42分)に到着したことになります。
エンジン故障がなければ、36kmを時速15kmで進むと2時間24分(36km ÷ 時速15km=2.4時間→2時間と24分)かかり、予定であれば10時24分(8時+2時間24分=10時24分)に到着することから、予定よりも1時間20分遅れることになります。
答え:予定よりも1時間20分遅れる
流水算のよくあるつまずきとその克服法
流水算では、条件整理や計算が複雑になるため、つまずく場面が多くあります。
しかし、問題を解く際の注意点やコツを身につけることで、ミスを減らすことができます。
以下では、問題文の読み方、計算ミスの防ぎ方、そして間違いを見直す方法について具体的に説明します。
問題文を読み違えないための注意ポイント
流水算では、問題文に書かれた条件を正しく読み取ることが成功の第一歩です。
次の点に注意して読み進めましょう。
- キーワードに注目する
問題文に登場する「上り」「下り」「静水時の速さ」「流速」などの言葉が、何を意味しているのかを理解しましょう。
これらの用語を正確に把握することで、速さや距離を正しく計算できます。 - 数値と単位を確認する
速さが「km/h」で与えられているのに対し、時間が「分」で示される場合があります。
単位が異なると計算ミスにつながるため、必ず統一してください。
たとえば、30分を0.5時間に変換することを忘れないようにしましょう。 - 条件を図や表に整理する
問題文が長い場合、頭の中だけで整理しようとするとミスが発生します。
ダイヤグラムや表を活用して、条件を視覚的にまとめる習慣をつけましょう。
これにより、見落としを防ぎ、必要な計算に集中できます。
計算ミスを減らすコツ:途中式をきちんと書こう
流水算では、速さ、距離、時間の計算が複数回必要になるため、途中式を省略するとミスが発生しやすくなります。
次の方法で計算ミスを防ぎましょう。
- 一つずつ丁寧に計算する
たとえば、上りの速さを計算する際、「静水時の速さ ー 流速」の式をそのまま書き出しましょう。
この途中式があると、計算ミスに気づきやすくなります。 - 目で確認できる形にする
数字や符号が小さすぎると、見間違えが起こります。
ノートの左端に式をきちんと書き、余白を使って見やすく整理しましょう。 - 検算の習慣をつける
一度求めた答えを、公式に戻して再計算してみると、間違いを早期に発見できます。
たとえば、上りと下りの速さを使って流速を再計算し、元の条件と一致するか確認してみてください。
解き方を間違えたときに見直すべきポイント
解き方を間違えてしまうことは誰にでもありますが、間違いをしっかり見直すことで学習効果を高めることができます。以下の手順でチェックしてみましょう。
- 条件の読み違えがないか確認
問題文に記載された速さや時間を間違えて解釈していないかを振り返ります。
「上り」を「下り」と取り違えることはよくあるミスなので注意が必要です。 - 公式の使い方を確認
流水算では、「速さ = 距離 ÷ 時間」や「距離 = 速さ × 時間」を正しく使うことが基本です。
公式を適用する際に、速さや時間が正しい位置にあるか見直してください。 - 計算過程を再チェック
書き出した途中式を上から順に確認します。
たとえば、「10 ー 2 = 8」ではなく「10 ー 2 = 6」としてしまった場合、式の繰り返し確認で間違いに気づけます。 - グラフや表と答えを照らし合わせる
問題を解く前に作成した図や表と最終的な答えが一致しているかを確認しましょう。
図に書かれた速さや距離と計算結果が一致しない場合、どこで間違えたかが見つけやすくなります。
流水算でつまずいても、その都度ミスを見直し、解き方を修正することで着実に力を伸ばすことができます。
つまずきは成長のチャンスと考え、問題を繰り返し解いて慣れることが大切です。
流水算の練習で中学受験を乗り越えよう!
流水算は、中学受験の算数で頻出の分野の一つです。
基礎をしっかり身につけるだけでなく、家庭学習や塾での学習を上手に活用することで、得点力を高めることができます。
さらに、流水算で得た考え方は他の特殊算にも応用可能です。ここでは、効果的な学習方法や活用法を具体的に紹介します。
家庭学習で使えるおすすめの教材・問題集
家庭での学習では、問題集や教材を活用することで効率的に知識を深められます。
以下は、流水算の練習に適した教材例と使い方のポイントです。
- 市販の中学受験問題集
「四谷大塚予習シリーズ」「日能研のテキスト」などは、流水算の基礎から応用までバランスよく収録されています。
最初は基礎問題を重点的に解き、次第に応用問題へと進めていくとよいでしょう。 - オンライン教材やアプリ
スタディサプリやZ会のオンライン教材では、流水算の解説動画や練習問題が手軽に利用できます。
動画で解法を確認してから実際に問題を解くと理解が深まります。
家庭学習では、子どものレベルに合った教材を選び、無理なく進めることが大切です。
塾の授業をもっと活用するための予習・復習のコツ
流水算を得意にするためには、塾の授業を最大限に活用することが重要です。
ただし、ただ授業を受けるだけではなく、予習と復習を組み合わせることで効果を高めましょう。
- 予習のポイント
授業で習う単元を事前に確認し、基本的な公式や例題に目を通します。
たとえば「速さの差と速さの和」「距離 = 速さ × 時間」の公式をノートに書き出し、どんな問題に使うのかをイメージしておきましょう。 - 授業中のメモの取り方
授業では、解き方の流れや先生が強調したポイントをしっかりメモします。
特に、条件整理の仕方や計算ミスを防ぐ方法など、試験本番に役立つヒントを記録することが大切です。 - 復習の進め方
授業で解いた問題を家で再度解き直し、間違えた箇所を確認します。
応用問題が難しい場合は、基礎問題に戻り、確実に解ける状態にしてから再挑戦することが効果的です。
塾を効率よく活用することで、より深い理解と応用力が身につきます。
他の特殊算にも役立つ考え方を学ぼう
流水算で得られる考え方は、他の特殊算にも応用できます。以下はその一例です。
- 速さに関する問題
流水算の「速さの差」や「速さの和」の概念は、通過算や時計算でも使われます。
たとえば、電車が橋を渡る時間を求める問題では、速さと時間の関係を正確に把握する必要があります。
通過算や時計算の詳しい解説は、以下の記事を一読することをオススメします!
通過算
時計算 - 比を使った計算
流水算で学ぶ比の考え方は、食塩水の濃度を求める問題や仕事算でも役立ちます。
速さを比で整理する経験を重ねることで、どんな条件にも対応できる柔軟な思考力が養えます。
食塩水の濃度や仕事算の詳しい解説は、以下の記事を一読することをオススメします!
食塩水の濃度
仕事算 - 図や表を使った条件整理
流水算で学んだダイヤグラムの作成は、旅人算や場合の数にも活用できます。
図を描いて条件を整理する習慣は、算数全般で応用可能なスキルです。
旅人算の詳しい解説は、以下の記事を一読することをオススメします!
旅人算
流水算を通じて得たスキルは、他の問題にも応用できる貴重な財産となります。
これらの経験を積み重ね、中学受験全体を通じて力を伸ばしましょう。
Q&A:流水算の完全攻略ガイド|中学受験で差をつける!
流水算に関するよくある疑問は下記の通り。
ここからそれぞれの疑問について、1つずつ詳しく解説していきます。
- 流水算を効率よく練習するための時間配分はどれくらいが理想ですか?
- 流水算を解く裏ワザはある?
- 流水算で速さが変わる場合の解き方は?
- ダイヤグラムの書き方が難しい場合はどうすればよいですか?
- 流水算で時間を求めるパターンの問題は?
- 流水算が苦手な子どもが自信をつけるための方法はありますか?
- 試験本番で流水算の時間配分をどうすればいいですか?
- 流水算の実際の状況をイメージしにくい場合はどうすればよいですか?
流水算を効率よく練習するための時間配分はどれくらいが理想ですか?
流水算の練習時間は、1日15~20分を目安に短時間で集中して取り組むのがおすすめです。
基礎を固めるために最初は簡単な問題を解き、徐々に応用問題に挑戦しましょう。
週に1度は、塾や家庭で学んだ内容を復習し、理解度を確認する時間を設けると効果的です。
流水算を解く裏ワザはある?
流水算を効率よく解くための「裏ワザ」として、次の3つのポイントを押さえておくと便利です。
- 「速さの差」と「速さの和」を活用する
上りと下りの速さの差は「2倍の流速」に、上りと下りの速さの和は「2倍の静水時の速さ」に相当します。この関係を利用して速さや流速を素早く計算できます。 - 距離が一定の問題では比を使う
上りと下りで進む距離が等しい場合、時間の比は速さの逆比になります。この性質を利用すると、複雑な計算を簡略化できます。 - ダイヤグラムを描いて条件を整理する
問題文を読んだら、速さ・時間・距離を矢印や表で図示すると、どの数値を計算すればよいかが明確になります。特に、複数条件が絡む問題では視覚的な整理が効果的です。
流水算で速さが変わる場合の解き方は?
速さが変わる場合、問題を区間ごとに分けて考えることが重要です。
以下の手順で解くとスムーズです。
- 区間ごとに速さを整理する
例えば、上流を進むときと下流を進むときで速さが異なる場合、静水時の速さと流速を基にそれぞれの速さを計算します。 - 時間や距離をそれぞれ計算する
各区間の速さが分かったら、「時間 = 距離 ÷ 速さ」を使って区間ごとの時間を求めます。 - 合計時間や距離を計算する
各区間の時間や距離を足し合わせることで、全体の所要時間や総距離を求められます。
例:
静水時の速さが12km/h、流速が3km/hの船が、上り20km、下り30km進む場合を考えます。
- 上りの速さ: 12 – 3 = 9km/h → 上りの時間: 20 ÷ 9 ≈ 2.22時間
- 下りの速さ: 12 + 3 = 15km/h → 下りの時間: 30 ÷ 15 = 2時間
- 合計時間: 2.22 + 2 = 4.22時間
ダイヤグラムの書き方が難しい場合はどうすればよいですか?
ダイヤグラムが難しい場合は、最初は簡単な矢印や線で「上り」「下り」を区別する図を描く練習から始めましょう。
速さや距離を具体的に書き込むことで、問題の状況が整理されやすくなります。
また、参考書や問題集に掲載されている図を模写して練習するのも効果的です。
流水算で時間を求めるパターンの問題は?
時間を求める問題では、「時間 = 距離 ÷ 速さ」の公式を使いますが、速さが条件によって変化する場合が多いです。
以下のポイントを押さえましょう。
- 速さが一定の場合
速さが静水時と流速で決まっている場合は、公式に直接当てはめて時間を計算します。
例:
静水時の速さが10km/h、流速が2km/hの船が、上り40km進む時間を求める場合。
- 上りの速さ: 10 – 2 = 8km/h
- 時間 = 距離 ÷ 速さ = 40 ÷ 8 = 5時間
- 速さが異なる場合
上りと下りの時間を分けて計算し、それを合計します。
例:
上り50km、下り50kmの場合、静水時の速さが10km/h、流速が2km/hとすると:
- 上りの速さ: 10 – 2 = 8km/h → 時間: 50 ÷ 8 ≈ 6.25時間
- 下りの速さ: 10 + 2 = 12km/h → 時間: 50 ÷ 12 ≈ 4.17時間
- 合計時間: 6.25 + 4.17 = 約10.42時間
このように公式を使い分けながら、条件を整理して計算することで、時間を正確に求められます。
流水算が苦手な子どもが自信をつけるための方法はありますか?
苦手意識を克服するには、成功体験を積むことが重要です。
まずは基礎的な問題を繰り返し解き、正解を出す喜びを味わわせてあげましょう。
また、親子で一緒に問題に取り組んだり、褒めるポイントを増やしたりすることでモチベーションを高めることができます。
簡単な問題を繰り返すうちに、自信がついてきます
試験本番で流水算の時間配分をどうすればいいですか?
試験本番では、流水算のような特殊算に時間をかけすぎないようにしましょう。
1問に5分以上かかる場合は、一旦後回しにして、簡単な問題から解くのが賢明です。
試験前に模擬試験や過去問で練習し、自分のペースを把握しておくと、時間管理がしやすくなります。
流水算の実際の状況をイメージしにくい場合はどうすればよいですか?
実際の状況をイメージしやすくするために、身近な川やプールを例に挙げて考えると良いでしょう。
例えば、「プールでボールを投げると、水流の影響で速さが変わる」というように、日常生活に関連づけて話し合うと理解しやすくなります。
また、動画教材やアニメーションを利用すると、視覚的にイメージをつかむ助けになります。
まとめ:流水算の解き方をマスターしよう
流水算は、中学受験で頻出する算数の単元で、川の流れ(流速)と船の速さを組み合わせて計算する問題です。
この単元では、上りと下りの速さや時間、距離の関係を整理して解く力が求められます。
以下に、流水算のポイントを簡潔にまとめました。
⭕️ 流水算で重要な速さは以下の3つです。
- 静水時の速さ:川の流れがない場合の船の速さ。
- 流速:川の流れの速さ。
- 実際の速さ:上りは「静水時の速さ – 流速」、下りは「静水時の速さ + 流速」。
⭕️ 距離や時間を求める際は以下の公式を使います。
- 速さ = 距離 ÷ 時間
- 距離 = 速さ × 時間
- 時間 = 距離 ÷ 速さ
⭕️ 問題を解く手順
- 問題文を正確に読む
上り、下り、静水時の速さなどの条件を整理します。単位の確認も忘れずに。 - 図や表で条件を整理する
ダイヤグラムや表を使い、速さ、時間、距離の関係を視覚的にまとめます。 - 公式を適用して計算
問題の状況に応じて、速さや距離を計算します。 - 条件の見落とし:問題文を丁寧に読み、重要な数値や単語に注目。
- 条件の見落とし:問題文を丁寧に読み、重要な数値や単語に注目。
- 計算ミス:途中式を省略せず、余白を使って整理しながら計算する。
- イメージしづらい:身近な例や図を使い、状況を具体的に考える。
⭕️ 流水算の学習ポイント
- 基礎を固める:まずは静水時の速さ、流速、上りと下りの違いを確実に理解する。
- 段階的に問題を解く:簡単な問題から始め、徐々に応用や難問に挑戦する。
- 比を使った考え方:応用問題では、比を使うと速さや時間を整理しやすい。
流水算は、しっかりと基礎を押さえて練習を重ねることで得点源にすることができます。焦らず段階的に取り組み、自信を持って本番に臨みましょう!
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