時計算の問題は、中学受験でよく出題される重要な分野です。
このブログでは、時計算の基本的な仕組みから、応用問題の解き方までを丁寧に解説しています。
まず、針の動き方や角度の計算方法などの基礎をしっかり理解し、次に応用問題に挑戦できるようにステップアップしましょう。
また、ミスを防ぐためのコツや暗算のテクニックも紹介しているので、効率的に学習できます。
- 基礎から応用まで理解できる:時計算の基本から応用問題まで段階的に学べる。
- ミス防止のコツが学べる:よくある間違いを防ぐための注意点を知ることができる。
- 暗算のコツが身に付く:速く正確に解けるためのテクニックを学習できる。
- 効率的な学習方法がわかる:中学受験に向けた実践的なアドバイスを得られる。
目次
時計算の3つの基本ルールと公式をおさえよう
時計算は中学受験において頻出の問題分野です。
時計の時刻を使って、針の動きを正確に計算するためのスキルを磨くことは、算数の得点アップに繋がります。
ここでは、時計算における3つの基本ルールと公式を押さえましょう。
時計の針の動きを理解することが重要です。
12時間で一周する時計の長針と短針は、それぞれ異なる速度で動きます。
長針は1分間に6°(360° ÷ 60分)、短針は1分間に0.5°(360° ÷ 12時間 ÷ 60分)動きます。
この動きの違いを利用して、問題を解くための基礎が作られています。
時計算は旅人算の追っかけ問題の解き方で無理なく解けるようになります。
3時から4時の間で長針と短針の差が20°となる時間は何時でしょう?
という基本問題で説明します。
⓵3時における長針と短針の角度をもろめる➡️30°✖️3=90°
旅人算については詳しく解説している下記の記事をご覧ください。
この90°を旅人算で短針が長針の90°先にいると考える。
1分間に長針は短針に5.5°追いつく、追いついた後は1分間に長針は短針に5.5°離れる。
長針の90°先にいる短針を長針が追いかけて、両方の針の角度の差が20°になるまでの時間を求める。20°差がつくのは短針の前に20°離れている場合と、短針の後ろに20°離れている場合の2つのケースが考えられる。
長針と短針の角度が20°になるのは、短針の前に20°離れている場合の答えは、長針が短針に70°追いつくのに必要な時間を求める。70°➗(6°ー0.5°)=12•8/11分 【12と11分の8】
答えは、3時12・8/11分です。
一方、短針の後ろに20°離れている場合の答えは、長針が短針に110°追いつくのに必要な時間を求める。110°➗(6°ー0.5°)=20分となります。
答えは、3時20分です。
時計算を旅人算と考えて解く方法のポイント
①スタート時刻での長針と短針の離れている角度を求める。
②この角度に、問題で与えられた長針と短針が離れている角度を足す、引く。
スタート時刻での長針と短針の離れている角度と問題で与えられた長針と短針が離れている角度を比べて、
⭕️スタート時刻での長針と短針の離れている角度>問題で与えられた長針と短針が離れている角度の場合は、長針と短針が離れている角度を足す。そして長針と短針が離れている角度を引いた角度の2つの場合を考える。
⭕️スタート時刻での長針と短針の離れている角度<問題で与えられた長針と短針が離れている角度の場合は長針と短針が離れている角度を足した角度を考える。
③この求めた角度を長針が1分間に5.5°短針に追いつく時間を求める。
旅人算については詳しく解説している下記の記事をご覧ください。
例えば、「3時ちょうどから3時15分までに短針と長針が作る角度は何度か?」という問題は、時計算でよく見られる典型例です。
まず、3時では長針と短針のなす角度は30° × 3 = 90°です。
時計算は旅人算の追っかけ問題の解き方を用います。
長針の90°先に短針がいます。
長針は1分間に6°、短針は1分間に0.5°動きますので、1分間に5.5°(6°-0.5°)差が縮まります。
90°前にいる短針を長針は1分間に5.5°差を縮めます。15分間では82.5°(5.5°×15分)差を縮めます。
長針と短針のなす角度は最初の差90°から縮めた差(82.5°)を引いた角度のことです。
つまり7.5°(90°ー82.5°)が答えです。
時計算で特に重要となる「長針と短針の進む速さの差」に注目しましょう。
この差は1分あたり6° − 0.5° = 5.5°です。
この速さの差を活用することで、問題をより簡単に解くことができます。
例えば、「8時ちょうどから9時までに長針と短針が一直線になるのは何時何分か?」という問題では、長針と短針の角度が180°になる瞬間を計算します。
まず、8時では長針と短針のなす角度は30° × 8 = 240°です。
時計算は旅人算の追っかけ問題の解き方を用います。
長針の240°先に短針がいます。
長針は1分間に6°、短針は1分間に0.5°動きますので、1分間に5.5°(6°-0.5°)差が縮まります。
長針と短針のなす角度は最初の差から縮めた差を引いた角度のことですから、この角度が180°になることから答えを求めます。
長針と短針の角度が180°になる時間を8時X分と考え、8時の長針と短針のなす角度240°ーX分で差が縮まった角度(X分✖️5.5°)=180°のXを求めます。
240°ー180°=60°がX分で差が縮まった角度(X分✖️5.5°)であることより60°➗5.5°=10 と10/11分となり答えは8時10・10/11分となります。
つまり8時10・10/11分が答えです。
時刻ごとの初期角度や経過時間を元に、この5.5°の差を活かして正確な時刻を求めます。
「長針が短針を追い越す時刻」も頻出のパターンです。
追い越すとは、最初の長針と短針の差の角度を、長針が追いかけて、長針と短針が重なる時です。
例えば、「5時ちょうどから6時までに長針が短針を追い越す時刻は何時でしょう?」という問題を考えましょう。
まず、5時では長針と短針のなす角度は30° × 5 = 150°です。
時計算は旅人算の追っかけ問題の解き方を用います。
長針の150°先に短針がいます。
長針は1分間に6°、短針は1分間に0.5°動きますので、1分間に5.5°(6°-0.5°)差が縮まります。
長針が短針を追い越すということは、長針と短針のなす角度が0°になることから答えを求めます。
長針と短針の角度が0°になる時間を5時X分と考え、5時の長針と短針のなす角度150°ーX分で差が縮まった角度(X分✖️5.5°)=0°のXを求めます。
150°ー0°=150°がX分で差が縮まった角度(X分✖️5.5°)であることより150°➗5.5°=27 と3/11分となり答えは5時27・3/11分となります。答えは5時27・3/11分となります。
つまり5時27・3/11分が答えです。
これら3つの基本ルールについて、詳しい説明は下記の記事を参照して下さい。
よく出題される時計算の基礎問題
時計算の基礎問題では、主に長針と短針の動きを理解し、両者の進む速さを使った計算が必要です。
基本的な問題には、「2つの針が重なる時刻」や「一定の角度を作る時刻」を求めるものが多くあります。
長針は1分間で6°、短針は0.5°進むという事実を活用し、両針の角度や重なりを計算する問題が典型的です。
まずはこれらの基本ルールを覚えることが重要です。
2つの針が重なる時刻を求める問題
時計算の例題: 8時と9時の間で、長針と短針が重なるのは8時何分ですか。 |
解説:
8時に, 短針は長針より30×8=240°先にあるから, 長針と短針が重なるのは,240 ÷(6-0.5)= 480/11=43•7/11
つまり8時43・7/11分が答えです。
2つの針が一定の角度を作る時刻を求める問題
時計算の例題: 4時から5時までの間で、長針と短針のつくる角が30度になるのは4時何分ですか。 |
解説:
まず、4時では長針と短針のなす角度は30° × 4 = 120°です。
時計算は旅人算の追っかけ問題の解き方を用います。
長針の120°先に短針がいます。
長針は1分間に6°、短針は1分間に0.5°動きますので、1分間に5.5°(6°-0.5°)差が縮まります。
長針と短針のなす角度が30°になることから答えを求めます。
長針と短針の角度が30°になる時間は、
・長針が短針の手前にきて30°の差となる場合、120°ー30°=90°を1分5.5°で縮める時間を考えます。
90°を1分5.5°で縮める時間は90°➗5.5°=11 ・4/11分、つまり4時11・4/11分になります。
・長針が短針を追い越して30°の差となる場合、120°+30°=150°を1分5.5°で縮める時間を考えます。
150°を1分5.5°で縮める時間は150°➗5.5°=27 ・3/11分、つまり4時27・3/11分になります。
時計算の例題: 7時から8時までの間で、長針と短針が重なってから、直角になるまで何分かかりますか。 |
解説:
まず、7時では長針と短針のなす角度は30° × 7 = 210°です。
時計算は旅人算の追っかけ問題の解き方を用います。
長針の210°先に短針がいます。
長針は1分間に6°、短針は1分間に0.5°動きますので、1分間に5.5°(6°-0.5°)差が縮まります。
長針と短針が重なってから、直角になるまでの時間は、210°+90°=300°を1分5.5°で縮める時間を考えます。
(重なってからなので、210°ー90°=120°は考えなくて良いのです)
300°を1分5.5°で縮める時間は300°➗5.5°=54 ・6/11分、つまり7時54・6/11分になります。
針が垂直(90度)になる時刻を求める問題
時計算の例題: 1時から2時までの間で、長針と短針のつくる角が90度になるのは1時何分ですか。 |
解説:
まず、1時では長針と短針のなす角度は30° × 1 = 30°です。
時計算は旅人算の追っかけ問題の解き方を用います。
長針の30°先に短針がいます。
長針は1分間に6°、短針は1分間に0.5°動きますので、1分間に5.5°(6°-0.5°)差が縮まります。
長針と短針が重なってから、直角になるまでの時間は、30°+90°=120°を1分5.5°で縮める時間を考えます。
120°を1分5.5°で縮める時間は120°➗5.5°=21 ・9/11分、つまり1時21・9/11分になります。
時計算の応用問題を確実に解くための3つの方法
時計算の応用問題を解くためには、基本的な公式を活用しながら、特殊な条件や追加の変数に柔軟に対応することが重要です。
たとえば、時計が進む・遅れるといった条件や、逆算問題などがよく出題されます。
これらの問題では、針の進む速さや角度を詳細に理解し、複数のステップで解答を導く必要があります。
特に、複雑な問題ではメモを取って整理することがポイントです。
時計が進む・遅れるといった条件付き問題を理解する
時計が進む・遅れる問題では、実際の時間と時計が示す時間が異なるため、それを考慮して計算することが必要です。
例えば「1時間で2分進む」場合、3時間経過後には6分進んでいることになります。
このような条件をもとに、実際の時間と時計の表示時間の差を求めることで、正確な答えを導き出します。
条件を正確に読み取り、進み方・遅れ方を計算する力が重要です。
時計算の例題: ある時計は1時間で2分進みます。この時計が12時を指している時、実際の時間は12時です。では、3時間後にこの時計が指す時刻は何時何分でしょうか? |
解説:
時計が1時間で2分進むので、実際の3時間で進む時間は 3 × 2 = 6分。
つまり、この時計は3時間で 3時間6分 進むことになります。
よって、正確な時間が 3時0分 の時、この時計は 3時6分 を指します。
このように、進む・遅れる時間を実際の時間に加算して計算します。
逆算問題を攻略する
逆算問題では、時計の針がある特定の角度や重なり状態に達するまでの時間を逆に計算します。
解法のポイントは、まず時計の基本的な動きを理解し、針の進む速さ(長針6°/分、短針0.5°/分)を正確に把握することです。
その上で、問題で指定された状態(例えば針が重なる、一定の角度を作るなど)から時間を逆算し、正しい答えを導き出します。
時計算の例題: ある時刻に長針と短針が重なりました。次に針が重なるのは何分後ですか? |
解説:
針が重なる間隔を求めます。
長針と単身が重なってから次に重なるためには360°追いつくことです。
360°を1分5.5°で縮める時間は360°➗5.5°=65 ・5/11分、つまり65・5/11分後になります。
特殊な角度を扱う問題を理解する
時計算の応用問題では、30度や90度といった基本的な角度ではなく、135度や150度など特殊な角度を扱う問題が出題されることがあります。
これらの問題を解く際は、まず針が何分間でその角度になるかを計算します。
基本的に、長針と短針の相対的な速さを使い、指定された角度に達するまでの時間を求めます。
複雑に見える角度も、公式を使えば簡単に計算できます。
時計算の例題: 4時から5時の間で、長針と短針の角度が150度になるのは何時何分ですか? |
解説:
まず、4時では長針と短針のなす角度は30° × 4 = 120°です。
時計算は旅人算の追っかけ問題の解き方を用います。
長針の120°先に短針がいます。
長針は1分間に6°、短針は1分間に0.5°動きますので、1分間に5.5°(6°-0.5°)差が縮まります。
長針と短針が重なってから、120°になるまでの時間は、120°+150°=270°を1分5.5°で縮める時間を考えます。
270°を1分5.5°で縮める時間は270°➗5.5°=49 ・1/11分、つまり4時49・1/11分になります。
時計算のミスを防ぐための3つの注意点
時計算では、正確な計算が求められる一方で、よくあるミスも発生しやすい問題分野です。
たとえば、分針や時針の進む速度を取り違えるミスや、条件の読み落としが典型的なものです。
こうしたミスを防ぐためには、問題の条件をしっかり確認し、計算の過程を丁寧に見直すことが欠かせません。
この章では、時計算で起こりやすいミスとその対処法を具体的に解説します。
- 単位の間違いに注意する
時計算では、「度」と「分」の単位変換を間違えやすいため、正確に計算することが重要です。
例えば、長針は1分で6°進み、短針は0.5°進みますが、これを「時間」と「角度」の両方で扱う問題では、どちらの単位を使うべきかを明確に意識する必要があります。
具体的には、「60分で360°進む」や「1分で0.5°進む」という公式を間違えないように、どの単位で計算しているかを確認しながら解答を進めましょう。 - 針の進む速さに注意する
時計算では、長針と短針の進む速さを正しく理解することが基本です。
長針は1分間に6°進み、短針は1分間に0.5°進みます。
この速さの違いが、針の重なりや角度を求める際の計算に大きく影響します。
例えば、2つの針がどのくらいの時間で一定の角度を作るかを計算する際、長針と短針の相対的な速さ(1分間に5.5°)を用いることが重要です。
この速度差を正確に使うことで、正しい答えを導けます。 - 解き終わったら解答を見直す
時計算の問題を解き終えたら、必ず解答を見直す習慣をつけましょう。
特に、角度や時刻を計算する際は、単位(°や分)を間違えていないか、針の進む速さ(長針は6°/分、短針は0.5°/分)を正しく使っているかを確認することが大切です。
また、問題文の条件や要求に合った解答が出せているか、計算手順を逆からたどってミスがないかをチェックすると、ミスの防止に繋がります。
時計算問題の解き方を徹底解説!に関する質問(Q&A)
【中学受験】時計算の練習問題を基礎から応用まで解説!に関するよくある疑問は下記の通りです。
ここからそれぞれの疑問について、1つずつ詳しく解説しています。
- 時計算の問題でよくある間違いは何ですか?
- 時計算の問題を解くために、どの程度まで時計の知識が必要ですか?
- 時計算の問題を速く解くための暗算のコツはありますか?
- 時計算の問題に苦手意識があります。どのように克服すればいいですか?
- 時計算の問題を自分で作成して練習する方法はありますか?
まとめ:時計算の問題を基礎から応用まで徹底解説
- 基礎の理解: 長針・短針の速さや角度計算の基本を押さえましょう。
- よく出る問題パターンの把握: 針が重なる時刻や特定の角度を作る時刻など、典型的な問題に慣れましょう。
- 応用問題への挑戦: 時計が進む・遅れるなどの条件がついた問題や、逆算問題を解く練習も必要です。
- ミスを防ぐ: 単位(度や分)の変換や公式の使い方に注意し、見直しを怠らないことが大切です。
参考のためにこのブログ「中学受験パスポート」の特殊算に関する記事を次に紹介しておきます。
参考記事:【中学受験】時計算の裏ワザ!解き方をわかりやすく解説します
参考記事:旅人算の問題の解き方を徹底攻略!中学受験のための完全ガイド
参考記事:仕事算の問題・解き方を完全攻略!中学受験で使える公式も解説します
参考記事:食塩水の濃度の計算方法とは?公式の覚え方もわかりやすく解説します
参考記事:【中学受験】倍数算の解き方をわかりやすく解説します【簡単】
参考記事:通過算の問題の解き方をわかりやすく解説!基本問題から応用まで
みなさんも、今日学んだことを使って、どんどん練習してみてくださいね!